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『世田谷コーヒー宣言』 スペシャルティコーヒー専門店カフェテナンゴの公式ブログ

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2013年 07月 16日

エル・インヘルト農園その5(2013中米出張)

昨日はイエローナンセの話で終わってしまったので、今日こそはエル・インヘルト
農園シリーズを完結させよう。

余談だが、ユーチューブやニコニコ動画に「作業用BGM」みたいなのが沢山上が
っているが、あれ絶対に作業がはかどらない。聞いちゃう。

さて、農園の話。

イエローナンセ(イエローブレンド)の区画からさらに上にあがっていくとパンドラや
パタゴニアといったエル・インヘルトの名声を世界レベルに押し上げた有名な区画
がある。

エル・インヘルト農園その5(2013中米出張)_e0159435_18163136.jpg
【パタゴニア 広い区画なのでスールとノルテに分かれている】

カフェテナンゴが昨年使用した『ファティマ』というパカマラ種は、パンドラ・ノルテで
収穫されたロット。パンドラは、ノルテ(北)とスール(南)に分かれており、ノルテの
ほうが若干日照量が多く、実が良く熟しやすい環境にある。ここで採れた完熟パカ
マラ種『ファティマ』に衝撃を受けたお客様は多かったようで、今でも『ファティマ』の
ことを聞かれたりする。

現在販売しているのは、『パタゴニア』というパンドラのさらに上に位置するエル・イ
ンヘルト農園の中でも最高地点に近い区画。

この区画は農園で最も面積が広いことから広大なパタゴニアになぞらえてこの名前
が付けられている。

この農園でパカマラ種が栽培されているのは5区画あるのだが、その中でも最も標
高が高いのがパタゴニア。

エル・インヘルト農園その5(2013中米出張)_e0159435_18183530.jpg
【パタゴニアでドン・アルトゥーロが撮ってくれた!】

当然年間平均気温が最も低い為、熟すのに時間がかかるし、収穫量も少ない。天候
に左右されやすい環境ではあるが、良くできた年には硬く引き締まり、芳香成分をたっ
ぷりと蓄えた極上のパカマラ種ができる。

今年6月のオークションには出品しなかったのは、あまりにも生産量が少なかったため
だそうだ。
天候の影響と裏作が重なり、オークションロットに仕上げるだけの量が揃わなかったと
いうこと。

その代わりにパンドラ区画から【ノーブル・エイジ】という超絶ロットを作り上げた。
これこそ今年エル・インヘルト農園が最も自信を持って世界に送り出した【パカマラ界
最強暴君】。

口のなかでフルーツがのたうちまわる・・・・・全然出張報告から外れてきてしまったの
で、ここらで戻します。

パタゴニアという区画は、農園の最高標高区画であることはお話しましたね。ここの区
画の中で最も高い位置に植えられている品種って何か想像できますか?

エル・インヘルト農園その5(2013中米出張)_e0159435_18202267.jpg
【ここより先は深い森 ここが農園の端っこ】

私は今回の出張で初めて知った。答えは「ブルーマウンテン」。ちょっと意外でしょ?
15年以上前に植えたものだということですが、なにせ標高が高いものでそんなに良い
結果がでてはいない様子。

ちなみにここのパカマラ種は、ドン・アルトゥーロがエルサルバドルに旅行に行った際に、
大きな実がたわわになっているパカマラの木を見て『これはすごい』とお持ち帰りしたも
の。

そして良い木だけをセレクションして、品質を高めてきた。だからここのパカマラ種は、
一味も二味も違うわけだ。(理由はそれだけではないが)

コーヒー生産について何を大切にしているかという私の質問にアルトゥーロはこう答えた。

エル・インヘルト農園その5(2013中米出張)_e0159435_18213182.jpg

まず第一に『土』と『労働者』。次に環境。

言葉短く、深い答えです。

コーヒーの木を育てるのは土、苗床で様々な土壌に関する実験を見たことを思い出した。
実を摘んだり、精製施設を動かすのは労働者。ここでは、ひとりひとりが働きやすいよう
な様々な工夫がされている。(これについての詳細はまたどこかで)
汚染の無い無垢な森と共に美しく澄んだコーヒーを産出する農園。エル・インヘルト農園
に勝てる農園がこの先出てくるのだろうかと本気で考えた。

パタゴニアから少し下ったところで今度はゲイシャ種が植えられた区画へ。

ここのゲイシャ種は2種類。ゲイシャ・エチオピアとゲイシャ・セントロアメリカ。

ゲイシャ・セントロアメリカは、あのパナマ「エスメラルダ農園」から種を分けてもらっている。

このゲイシャ種もとにかく本家に負けないくらいの素晴らしい香味を持っている。が、高値
がつくので気軽に狙えない。(結構大手が狙ってくるので、落札は難しいと予想)

あとは、ブルボン・エナノというブルボンの矮小種の区画にも行った。
これは今年のオークションで出品される予定だったが、開催日間際に急遽出品とりやめに
なった品種。

エル・インヘルト農園その5(2013中米出張)_e0159435_1822395.jpg
【ブルボン エナノの区画】

こんな感じで農園内のいろいろな区画を見てさすがに疲れた。

さて戻りましょうか。アルトゥーロさん。

エル・インヘルト農園その5(2013中米出張)_e0159435_1823175.jpg
【さあ、これから下りましょう!】
戻ってから14時過ぎに昼食。ここの食事は本当に美味しい。珈琲も食事も最高だ。

食べながらドン・アルトゥーロが私にアドバイスをくれた。

「いいかYoshi。品質を最も大切にしろ。量は売らなくていい。本当に良いものを少しだけ
売ればいいんだ。これからを生き抜くにはそれが大切だ。」

ありがたいお言葉です。これからもカフェテナンゴは、品質第一で頑張ります!
あれ?エル・インヘルト農園のコーヒーも少しの販売でいいんですかね?

沢山売りたいです!アルトゥーロさん?

カフェテナンゴの「パタゴニア」はこちら

by cafetenango | 2013-07-16 16:47 | グアテマラ(コーヒー)


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