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『世田谷コーヒー宣言』 スペシャルティコーヒー専門店カフェテナンゴの公式ブログ

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2013年 07月 27日

コーヒーのさび病(2013中米出張)

中米の農園主たちが『こんなにひどくやられたのは今までにない』と口を揃え
るほど猛烈な被害を出したさび病。そのニュースは、コーヒー関係者でなくて
も一度はTVやネットのニュースなどで目にしているはずだ。

コーヒーの歴史で有名なのは、セイロン島のさび病。今は紅茶で有名だが、
もともとはコーヒーが植えられていた。それがさび病で壊滅したので、紅茶に
植え替えて現在に至るという。それほどの強い感染力を持った恐ろしい病気
なのだ。

今回の出張目的の一つにさび病の調査があった。サン・ヘラルド農園のポー
ルの農園はフライハーネス地区にあり、30~40%の収穫量ダウンに見舞わ
れた。彼の農園でさび病について色々と教えてもらってきたので、ここで紹介
する。

さび病の菌は高温多湿を好む。昨年、一昨年のグアテマラでは異常気象で
菌の大好きな環境が整ってしまった。

高温多湿ということで、標高の低い地域ほど繁殖しやすい。コスタリカなんか
では1500m以上ではひどくなかったと聞くが、グアテマラでは平均1500mの
アンティグアが大打撃を受けている。一概に標高だけで判断することはできな
そうだ。

ちなみにグアテマラでもっとも被害の大きかったのは、サンタ・ロサ、フライハ
ーネス、アンティグア、アカテナンゴなど首都近辺の地域。ウエウエテナンゴに
いくと、さび病はそれほどでもなかった。

中米の生産量が~%ダウンなどという記事をよく見かけたが、生産エリアによ
って極端に差があるのが現状だ。

コーヒーのさび病(2013中米出張)_e0159435_1555494.jpg
【サン・ヘラルド農園で】

これがさび病に侵された葉。さび病にかかると葉が枯れて落ちる。結果として
光合成ができなくなり、実の熟成が止まり、木自体の栄養も足りなくなる。

茶色くなっているところは枯れてしまっているところだが、表面に黄色いプツプツ
したものが見えるだろうか。

この黄色く見えるのがさび病の菌なのだが、もう死んでいる菌だそうだ。

さび病は、最初【葉の中】に潜んでいる。

コーヒーのさび病(2013中米出張)_e0159435_1641148.jpg
【同じ葉の裏と表】
コーヒーのさび病(2013中米出張)_e0159435_1661367.jpg


この2枚の写真。同じ葉っぱの裏と表なのだが、裏の写真は光に透かして撮って
いる。

注目してもらいたいのは黄色いプチプチしたさび病の菌。光に透かした写真のほ
うが黄色い菌が多く見えるはずだ。

光に透かさずとも見える黄色いプチプチは、【死んでいるさび病菌】。
光に透かして初めて見える黄色プチプチは、【葉の中で生きているさび病菌】。

当然菌が生きているのだから高温多湿の状態が続けば、また活動が活発化するお
それもあるということだ。

グアテマラの農園主たちは皆このさび病の再活動を懸念しているが、予防法はただ
一つ。農薬を撒くこと。しかし広いコーヒー農園すべての木に散布したらどれだけの
手間とコストがかかるか。

多くの生産者にとって天候が菌にとって好ましい状態にならないよう祈るしかないよ
うです。

by cafetenango | 2013-07-27 16:29 | グアテマラ(コーヒー)


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